昭和の記録  (戦塵日記・昭和15年)

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zoom RSS 昭和20年8月16日の手記

  作成日時 : 2005/08/12 08:42   >>

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噫、皇国三千年の歴史上最大の忍辱の日は遂に来た。我等は一億
誰か此の日の来るべきを豫想しやう、皆最期の勝利を希望に
持って闘ひ続けて来たのだ。噫、然し我等の力 足らず 和を宿敵に
乞はんとは、聖断既に下る。我等又何をか言はん。我等の力、足らざ
りし不忠をもお叱り給はず 唯「民の惨、見るに忍びず」と仰せ
られて此の聖戦に終局をお告げなされる大御心の有難さ、只々
恐嚶感涙にむせぶのみ。 我等の力足らざりし罪何を以て
償はんや。我等死すとも足らず、噫ー。
八月十五日 此の日は早朝より敵の艦載機来襲、空襲警報は
早朝より鳴り響き我等は例日の如く勤務に就いた。只様相の
異変を感ぜしめられたのは昨夜来報道以外の一切のラヂオ放送
は中止せられ、本十五日正午 聖上御○ら御放送遊ばさるゝ
との予定であった。ソ聯既に不法参戦するも帝国未だ宣戦布告
なし本日の聖勅は帝国最悪の危機に際し我等一億一人と
なるまで宿敵撃滅に邁進せよとの御言葉を賜らんとのみ予期
しありしに、何ぞ詔勅の意外にして畏き極みなる。
我等は謹んで天音を拝する為 受信機を工場の
講堂に据え 全従業員正午十分前に集合謹んで拝聴す、
君ヶ代の奏楽の後朗々たる天音を拝する事数刻にてポツダム
宣言を受諾する旨仰せあり、我等只耳を疑ふ 実に之れ
晴天の霹靂なり、我等一死以って国に殉ぜん覚悟にてあり
しを 宿敵に我より和を乞ふを陛下の御声もて此処に聞かんとは。
更に陛下は曰ふ、一億の忠誠を嘉し給ひ我等の不忠を些かも
御叱りあらず 尚又、新爆弾の威力の前に我が臣民の惨、見る
に忍びずと曰ふ。我等又何を以って此の御仁慈に応へんや。
例ふるも恐れ多き事乍ら、金鈴の音の如き玉音、時に切々と
して涙に曇らせ給ひ、拝聴する我等只々感涙にむせび
頭を上げ得ず拳は徒に空を握り腸は正に千切れんとす
数分にして詔書は終了。而て我ら粛然として暫しは頭を垂れ
たるまゝ一として声なし、敗戦の責を陛下一人にて御負ひ
になる忝けなさ光輝ある皇軍の消滅、宿敵への降服
我等が胸中を掻きむしるもの熱湯か赤鉄か
生きて敗戦の汚名を受けんよりは我等一億惣く玉砕
せん、本土決戦に誓って勝算我にありと思ひしかど今や
聖断を垂れ給ふを如何せん、皇国国体護持の最後の線を
保持し得て聖戦は終了す。帝国の新発足と詔書に
我等の進むべき道を明示し給へど 我等感極まりて自己の
進路を見出し得ず。宸襟を悩まし奉りし罪 大御心に
沿ひ奉るを得ざりし罪を謝して我等屠腹すべきかされど
皇国護持の大任、今後にあり 噫ー
                 二〇・八・十六

敗戦は歴然たる事実である



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